医師国家試験対策としてのVimを活用したまとめノートの作成方法

2022年2月に実施された第116回医師国家試験に合格を致しました.
この記事では実際にこの勉強方法で合格出来たということで,その勉強法について記していく.

この記事の対象者は,
・Vimを用いた経験のある医学部生,又は医療系の学生.
・他の人の勉強方法の一例を知りたい方.
・塾関係者で学生がどのようなツールを用いているか知りたい方.
が主になる.

注意点としては特に,この勉強法を実践するためだけにvimを勉強することはお勧めしない.vimの習得にはそれなりの時間が掛かるにも関わらず,プログラミングをする予定のない医療関係者にとって時間とメリットは,まず釣り合わないと考えるからだ.vimを勉強するくらいならば,将来のタイピング速度向上と疲労軽減のために,かな入力の練習をするべきだと個人的には思う.

使用したツールと教材

僕が国試対策で使用したツールは主に2つ.
・vimとtext file 1つ : この記事で説明する部分.
・Scrapbox : 個人用のメモツールとしては最強だと思っている.僕は様々なメモを全てScrapbox上で行なっている.国試に関しては画像のまとめをする場所として用いた.

塾関係の教材は以下のものを購入した.
・medic mediaのQBオンライン : 最初は本だったが結局後半(国試直前の9月移行)はonlineのみ.
・TECOMの模試4回分 : 僕は勉強しない方だったので,1回目の模試でひどすぎる結果を取り,エンジンがかかり始めた.
・medic mediaの模試第2回 : 国試直前の1月の模試.
・鑑別! 1st impression : 購入したけど使わず.

僕は動画で勉強出来ないと自分の性格を理解していたので,周りが動画を見ている中,黙々とQBを解き続けた.

ちなみに僕は国試前の9月から本格的に勉強し始めた人だ.1月にようやくQB1周とその復習が終わって,2周目は2週間で復習まで終わらせた.結果は偏差値50よりもちょっと下くらいだった.

vimとtext file

上記のツールと教材の中で,他の人と決定的に違う部分は,vimとtext fileだろう.僕は自分の学んだまとめをひたすらtext file一つにまとめた.text fileというと何か難しいツール?と思う人も居るかもしれないが,Windowsで言えばメモ帳だ.メモ帳にひたすら以下のようなメモを書き続けた.

######################## :内分泌:代謝: ##########################

代謝源と代謝産物:
    [鑑別]
        - トリプトファン : セロトニン.
        - L-チロシン : L-ドーパ,ドーパミン,ノルアドレナリン,アドレナリン.
        - コレステロール : アルドステロン,アンドロゲン,エストロゲン.
        - アセチルコリン : コリン,酢酸.

ネガティブフィードバック:
    [鑑別]
        - 低血糖 : グルカゴン,アドレナリン,コルチゾール,ACTH,成長ホルモン.

ポジティブフィードバック(Positive Feedback):
    [鑑別]
        - 分娩の際のオキシトシン.
        - 月経のLH surge(エストロゲンが一定量).

自己免疫性肝疾患に関しては,

自己免疫性肝疾患:
    [鑑別]
        <抗体> (実家のじいさん豪華な生活,誕生日の見込みは高価なピアノ)
            - 実家の : 自己免疫性肝炎(AIH,autoimmune hepatitis).
            - じいさん : IgG.
            - 豪華な : 抗核抗体.
            - 生活, : 抗平滑筋抗体.
            - 誕生日の : 原発性胆汁性肝硬変(PBC,Primary biliary cirrhosis).
            - 見 : IgM.
            - 込みは : 抗ミトコンドリア抗体.
            - 高価な : 原発性硬化性胆管炎(PSC,primary  sclerosing cholangitis).
            - ピアノ : P-ANCA.
        <合併症>
            - 関節リウマチ(RA),橋本病,シェーグレン症候群(SjS) : AIH,PBC.
            - 骨粗鬆症,食道静脈瘤 : PBC.
                [Note] 骨粗鬆症を増悪させるからPBCに副腎皮質ステロイドは禁忌.
            - 潰瘍性大腸炎(UC) : PSC.
            - IgG4が一部に存在する : AIH,PSC.
        <リスクファクター,risk factor>
            - 胆管癌 : PSC,先天性胆道閉鎖症,膵・胆管合流異常症.
            [Note] 胆嚢癌は,膵・胆管合流異常症,先天性胆道閉鎖症,胆嚢結石症.
                - 肝内胆管のみを障害するのはPBCのみ.
                - PSCは肝内胆管と肝外胆管.自己免疫性膵炎との鑑別が問題になる.
        <治療>
            - 副腎皮質ステロイド : AIH.
            - ウルソデオキシコール酸(UDCA) : PBC,PSC.
            - 肝移植 : PBC,PSC.
        <疫学>
            - 中年女性 : AIH,PBC.
            - 若年男性 : PSC.

といった感じ.要するにひたすら 1問1答形式をとても細かく作成していった.これをテキストファイルに詰め込み続けたので結果的に14000行強の行数になった.

さて,上記の例を見れば分かるとおり,まとめ方に関しては別に特徴的なわけではないでしょう,しかしながら,問題は1万行超えのtext fileをどのように探索するかが問題だ.そこで登場するのがvimだ.

vimはプログラマーの一部に熱狂的なファンがいるeditorの一つだ.vimの特徴としては,normal modeとinsert modeが存在することだろう.insert modeは単純に文字入力用のモードだ.normal modeは移動や検索といったコマンドのために,キーボード全体を用いる.

vimの使い方に関しては,この記事の目的ではないので割愛する.興味ある人がいたらご自分で調べてください.

威力を発揮するのは,/<word> からの n だ.これによって検索したワードを次々と見ることが出来る.
例えば,IgMで検索して ( /IgM ),n を押すと次のように画面が次々と移り変わる.

上の画面を閲覧するのに必要なのは,わずか数回のnボタンである.このように特定のワードに関して,自分のメモ帳を高速に探索し続けることが出来ることがvim + text fileの強みである.

この勉強方法によって関連する単語について収集し,すばやく何度も記憶を強化することが出来た.例えば,コラーゲンの型と関連する病気についてのまとめは,medic mediaでもあまりなかったが自分で円滑にまとめることが出来た.

また,[Ref.] という項目を用いて,参考文献に直ぐアクセス出来るようにしたり,Scrapboxの画像まとめに飛べるようにした.

以上.この記事が誰かの勉強方法や新たなサービスに繋がり,医学部生の勉強効率の向上へ寄与できればと願う.


———-雑感(`・ω・´)———-
以前,後輩の参考になるかなって思いgrepを用いた記事を紹介した.
grepで医学部のCBT,国試対策資料を活用!(β版)
β版と書いただけあって,grepを用いることは日常の勉強生活の中ではほとんどなかった.実際,このgrepの用い方は,上記で紹介したテキストファイルを自分で作成したサイトでアクセス出来るようにする際の検索機能の中に取り入れた.このときの実装で便利だったくらいだ.基本的にvimで飛びまくって勉強 -> 編集の流れが最も多かった.

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